Step 2 — Vehicle Registration
自動車登録の実務
名義変更・住所変更・新規・抹消。運輸支局で行う各種登録の必要書類と当日の動き方を、パターン別に解説します。※本ページは登録自動車(普通車・小型車)が対象です。軽自動車は軽自動車検査協会での別制度になります。
登録制度の基礎知識
登録自動車(普通車・小型車)の登録は、国土交通省の運輸支局・自動車検査登録事務所で行います。ナンバーの地名は、この管轄区域ごとに決まっています。行政書士は、官公署に提出する書類の作成・提出代理として、この登録業務を扱うことができます。
登録の種類 — 「こんなとき、どの登録?」
| 登録の種類 | こんなとき | 解説 |
|---|---|---|
| 新規登録 | 新車を買った/一時抹消中の車を再び使う | → 05 |
| 移転登録(名義変更) | 売買・譲渡で所有者が変わった | → 03 |
| 変更登録 | 引越し・結婚などで住所・氏名が変わった | → 04 |
| 一時抹消登録 | しばらく乗らない(税金を止めたい) | → 06 |
| 永久抹消登録 | 解体(廃車)した | → 06 |
| 番号変更 | 希望ナンバーにしたい/破損・盗難 | → 07 |
車検証は電子化されている
2023年1月から、登録車の車検証はICタグ付きのA6サイズ「電子車検証」になりました。券面に記載されない所有者情報や有効期間などは、「自動車検査証記録事項」の書面や閲覧アプリで確認します。実務では、依頼者から車検証の写しをもらうとき、記録事項の書面もセットでもらうようにすると情報の抜けがありません。
登録はOSS(自動車保有関係手続のワンストップサービス)によるオンライン申請も普及しています。OSSでは検査登録+保管場所証明+自動車諸税+手数料納付を一括申請でき、行政書士には、警察の保管場所証明審査の後に窓口で委任関係の確認を受ける「受付審査」フローが認められています(令和2年4月〜)。本ページではまず基本となる窓口申請の流れを解説します。窓口を一通り経験すると、OSSの画面の意味も理解しやすくなります。
運輸支局での共通実務
どの登録でも、支局での一日の動きはほぼ共通です。初回はこの「順路」を頭に入れてから行くと迷いません。
書類の最終確認支局到着前
チェックリストで全書類を照合。不備があれば窓口に行く前に依頼者へ連絡します。
OCR申請書の記入支局内
登録の種類ごとに決まったOCR様式(第1号様式など)に記入します。鉛筆指定欄・ボールペン欄など記入方法は様式の注記に従います。支局に記載例が掲示されています。
手数料の納付支局内
支局内の窓口で検査登録印紙を購入し、手数料納付書に貼付します(金額は早見表)。
登録窓口へ提出 → 新しい車検証の交付支局内
書類一式を提出し、審査を経て新しい車検証(電子車検証+記録事項)が交付されます。その場で記載内容を照合します。
税の申告隣接の税事務所
支局に隣接する自動車税事務所で、自動車税(環境性能割・種別割)の申告をします。取得価額によっては環境性能割が課税されます。税額の計算は窓口で確認できます。
ナンバー返納・交付 → 封印ナンバー窓口
ナンバーが変わる場合のみ。旧ナンバーを返納し、新ナンバーの交付を受け、後面左側に封印の取付けを受けます(→ 07)。
初めての支局は午前の早い時間に行きましょう。混雑前に着けば、記載例を見ながら落ち着いて書けますし、不備があってもその日のうちにリカバリーできます。
移転登録(名義変更)
売買・譲渡で所有者が変わるときの登録です。行政書士への依頼が最も多い登録で、まずはこれをマスターします。
必要書類(個人間売買の基本形)
| 書類 | 誰のもの/誰が用意 | 注意点 |
|---|---|---|
| 申請書(OCR第1号様式) | 行政書士が作成 | 支局で記入でも可 |
| 手数料納付書+印紙 | 行政書士が用意 | 移転登録 700円(令和8年4月〜・窓口) |
| 譲渡証明書 | 旧所有者(実印を押印) | 訂正は原則不可。書き損じは書き直し |
| 印鑑証明書 | 旧所有者・新所有者それぞれ | 発行後3ヶ月以内 |
| 委任状 | 旧所有者・新所有者それぞれ(実印を押印) | 行政書士が代理申請するために必要 |
| 車検証(電子車検証) | 現物を預かる | 有効期間があること |
| 車庫証明書 | 新使用者の保管場所のもの | 証明後おおむね1ヶ月以内 |
| (住所がつながらない場合)住民票・戸籍の附票など | 該当者 | 車検証の住所→印鑑証明の住所の変遷を証明 |
実務で頻出のパターン
所有権留保(ローン中の車)
車検証の所有者欄がディーラーや信販会社になっている車は、所有権留保の状態です。名義変更にはその所有者(信販会社等)の譲渡証明書・印鑑証明書・委任状が必要で、完済後に「所有権解除」の書類一式を取り寄せてもらうところから始まります。依頼者に「車検証の所有者欄は誰になっていますか?」と最初に聞くのが定石です。
ナンバーが変わるかどうか
新使用者の「使用の本拠の位置」の管轄が変われば、ナンバーも変わります(車両の持込みまたは出張封印が必要)。管轄が同じなら、希望しない限りナンバーはそのままです。
移転登録の委任状・譲渡証明書は実印が必要です(印鑑証明書と印影を照合されます)。認印で押されて戻ってくる事故が多いので、依頼者への案内文に「必ず実印で」と朱書きしましょう。
変更登録(住所・氏名の変更)
引越しや結婚などで、所有者・使用者の住所や氏名が変わったときの登録です。変更があった日から15日以内に申請する義務があります(道路運送車両法)。
必要書類
- 申請書(OCR第1号様式)、手数料納付書+印紙500円(令和8年4月〜・窓口)
- 車検証(電子車検証)
- 住民票(発行後3ヶ月以内。引越しが複数回ある場合は戸籍の附票などで住所の変遷をつなげる)/氏名変更は戸籍謄本など
- 委任状 — 変更登録は認印で可(移転登録との大きな違い)
- 車庫証明書 — 保管場所の位置が変わる場合に必要
「移転=実印+印鑑証明」「変更=認印+住民票」とセットで覚えると、書類案内を間違えません。管轄をまたぐ引越しならナンバー変更+封印も発生します。
新規登録(新車・中古車)
新車の新規登録(型式指定車)
- 完成検査終了証(メーカー発行・電子化されている。有効期間9ヶ月)
- 譲渡証明書(ディーラー→所有者)
- 新所有者の印鑑証明書(3ヶ月以内)・委任状(実印)
- 車庫証明書(1ヶ月以内)
- 自賠責保険証明書(登録後の有効期間があるもの)
- 手数料:窓口1,300円(令和8年4月〜)
中古車の新規登録(一時抹消からの再登録)
- 登録識別情報等通知書(一時抹消時に交付された書面。これが車の"戸籍"になる)
- 車の検査:予備検査証(有効3ヶ月)、保安基準適合証、または支局への車両持込検査のいずれか
- 譲渡があれば譲渡証明書、新所有者の印鑑証明書・委任状(実印)
- 車庫証明書、自賠責保険証明書、自動車重量税の納付
- 手数料:窓口1,300円(令和8年4月〜)
新規登録は「検査」が絡むぶん、移転・変更より一段むずかしい業務です。最初は移転登録・変更登録で支局に慣れてから挑戦するのがおすすめの順序です。
抹消登録(一時・永久)
一時抹消登録 — 「しばらく乗らない」
- 公道を走らせない間、自動車税(種別割)を止めるための手続き。
- 必要書類:車検証、ナンバープレート前後2枚(返納)、所有者の印鑑証明書(3ヶ月以内)、委任状(実印)、手数料500円(令和8年4月〜・窓口)。
- 完了すると登録識別情報等通知書が交付されます。再登録(中古新規)のときに必須の超重要書類。紛失すると手続きが大きく面倒になるので、依頼者に厳重保管を案内します。
永久抹消登録 — 「解体した」
- 解体(リサイクル)後に行う手続き。解体業者から伝えられる「移動報告番号」と解体報告記録がなされた日が必要です。
- 車検証、ナンバー前後2枚、印鑑証明書・委任状(実印)。手数料は無料。
- 車検残がある場合は自動車重量税の還付申請を同時に行います(還付金の受取人・振込先を確認)。
ナンバープレートと封印
ナンバーの交付
- 支局に併設されたナンバー交付窓口(標板協会など)で、旧ナンバーの返納と新ナンバーの交付を行います。プレート代(ペア)は地域・種類により異なり、おおむね1,500〜2,000円前後。字光式・図柄入りは高くなります。
- 希望番号は予約制です(希望番号予約センターまたはインターネット申込)。交付まで数営業日かかり、人気の番号(・・・1、8888など)は週1回の抽選対象です。登録日程を組むときは、この予約リードタイムを必ず織り込みます。
封印とは
後面ナンバーの左側ボルトに付いているアルミのキャップが封印です。国から委託を受けた者しか取り付けられず、勝手に取り外すことはできません。登録車のナンバーが変わるときは、原則として車両を支局へ持ち込み、その場で封印の取付けを受けます。
——しかし、販売店の在庫車やユーザーの生活の足を、登録のためだけに支局へ持ち込むのは大きな負担です。そこで行政書士の出番になるのが、次の出張封印です。
出張封印(丁種封印)
出張封印とは、封印の取付けを運輸支局ではなく自動車の保管場所(店舗・自宅など)で行う制度です(封印取付け委託要領第4条)。行政書士会経由で封印取付けの再委託を受けた行政書士(いわゆる丁種会員)が担い、丁種会員どうしの「再々委託」を使えば、車を一切動かさずに全国どこのナンバー交換でも完結できます。
- 管轄変更を伴う名義変更・住所変更のナンバー交換を、店頭・自宅で実施できる
- 希望番号・図柄入りナンバーへの交換、毀損・盗難による再交付にも対応できる
- OSSと組み合わせれば、支局にも警察署にも行かない「完全非来局」型も可能
制度のしくみ(甲・乙・丙・丁の4区分)、できる行政書士の要件、実務フロー、対象外の車両、費用の考え方は、専用ページで詳しく解説しています。
法定手数料 早見表
令和8年(2026年)4月1日に法定手数料が改定されました。以下は改定後の窓口申請の額です。古い書籍・サイトには改定前の額(移転500円など)が載っているので注意してください。
| 手続き | 窓口申請 | 備考 |
|---|---|---|
| 新規登録(完成検査終了証あり) | 1,300円 | OSSは700円 |
| 中古車新規登録 | 1,300円 | 改定前は700円 |
| 移転登録(名義変更) | 700円 | OSSは600円/改定前は500円 |
| 変更登録 | 500円 | 改定前は350円 |
| 一時抹消登録 | 500円 | 改定前は350円 |
| 永久抹消登録・解体届出 | 無料 | — |
| 車検証の再交付 | 450円 | 改定前は350円 |
※検査登録印紙で納付します。OSS(電子申請)は窓口より低い額に設定されています。
※車庫証明の手数料(2,100〜2,400円程度)は都道府県ごとに定められており、上記の改定とは別の体系です。
※金額は今後も改定される可能性があります。実際の業務では国土交通省・運輸支局の最新の掲示をご確認ください。